自律型エージェントDotsとGrok Botは使い分けよう
AIの値下げ戦争で、モデルそのものの差はほとんどなくなりました。そこで各社は条件付きの値引きや常駐エージェントで客を囲い込もうとしています。囲い込まれないように工夫してきた私も、どうやら他人事ではありませんでした。
Rippling は5月から OpenAI に乗り換えた
米国のテック系メディア The Information が10月24日に報じた記事によると、人事ソフトの Rippling では、エンジニアのコーディング作業のうち、5月は Anthropic のモデルが57%、OpenAI が16%を担っていました。今は OpenAI が52%、Anthropic が18%と逆転しています。CEOの Parker Conrad 氏は、OpenAI のほうが安かったことを理由に挙げています(記事の無料部分)。
ブラウザでアプリを作れる Replit も、OpenAI から30%以上の値引きを受けて、AIへの支出の大半を移したと報じられています。
定価はどこも2ドル
API(プログラムからAIを呼び出す仕組み)の定価を並べると、拍子抜けします。
- OpenAI の GPT-6.1 Sol:入力2ドル、出力10ドル(公式)
- Anthropic の Claude Sonnet 5.5:入力2ドル、出力10ドル(公式)
- Moonshot の Kimi K3.1 Pro:入力2ドル、出力10ドル(Artificial Analysis 調べ)
どれもトークン(AIが文章を数える単位)100万あたりの値段です。円なら入力約314円・出力約1,568円、ペソなら約127ペソ・約636ペソで、まったく同じです。
今はどのAIもターミナル(コマンドを打ち込む画面)を操作でき、VM(仮想マシン)を持ち、クラウドでエージェントを動かしています。判断や分類だけに絞ったDecision Model(決定モデル)も出てきました。Microsoft の Decision-1 は入力100万トークンで0.042ドル、出力は無料です。手元で動く安いLLM(大規模言語モデル)も、実用的な質と速さで答えを返します。
ソフトウェア開発なら、今の Opus や Sol で十分です。Mythos のような最上位モデルにお金を払い続ける必要はありません。無料の Muse でも足ります。
モデルの代わりに、条件と仕組みで囲い込む
モデルだけでは客をつなぎ止められないので、各社は別の手で囲い込みにきています。
ひとつは条件付きの値引きです。The Information の記事では、オンライン学習の DataCamp にも OpenAI から値引きの提案が来ていました。同誌の Amir Efrati 氏が Xに載せた記事の画像には、「OpenCode や Claude Code のような競合ツールではなく、Codex を使う」という一文が写っています。画像は文の途中から切れていますが、Codex(OpenAI のコーディング用AIツール)を使うことが値引きの条件だったようです。
もうひとつは仕組みです。OpenAI は Codex と組み合わせてコードの脆弱性を探し、修正案まで用意する Daybreak を出しました。常駐型のAIでも、OpenAI の Dots(クラウド上で24時間動き続ける自律エージェント)や、Anthropic の Claude Duet(毎朝の要点報告と裏での作業をこなすエージェント)が出てきました。
私は方角で使い分けている
1社に縛られないように、私は仕事の向きでAIを分けています。
- 内側からのアクション(Slackやメール):OpenAI の Dots
- つくる仕事(コードを書かせる、ドキュメントをつくる):Claude
- 外側の動向からのアクション(Xやニュース):Grok Bot
全部の方角で勝つAIはありません。DataCamp の例のような条件付きの値引きは、方角をひとつ丸ごと1社に明け渡させるものです。
コストと速さと質で選んだ結果
私はずっと、モデルはコストと速さと質で選べと言ってきました。エージェントも役割ごとにその3つで選べば、1社に囲い込まれずに済むはずでした。
ところが、常駐エージェントはどれも一度体験すると離れられません。1社に囲い込まれないように分けた結果、3社まとめて囲い込まれました。
支払いは Claude の Max プランが月200ドル、Grok と OpenAI が100ドルずつです。定価2ドルの値下げ戦争のさなか、私は3社に毎月400ドル(約6万2,700円、約2万5,500ペソ)を払い続けています。